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【2020年度】全国の高等学校におけるICT(※1)活用実態調査―タブレット導入率が約半数に。生徒のスマートフォンを教育利用する「BYOD(※2)」導入も拡大

2020-02-21 ニュースリリース
教育出版の株式会社旺文社(本社:東京都新宿区、代表取締役:生駒大壱)は、高等学校におけるICT機器・サービスの導入状況および活用の実態について、アンケート調査を実施いたしました。今年で4回目となる本調査は、回答校数が過去最多の全国計1,494校に上り、学校現場でのICT活用に対する関心度の高さがうかがえる結果となりました。アンケート回答の集計を元に、ICTの教育利用に関する近年の傾向と課題について、過去の調査内容との比較を交えた分析結果を公開いたします。

この調査結果を受け、旺文社では、各高等学校の実情に則した教育ICTサービスの提供と、活用のためのサポートに取り組んでまいります。
※1 ICT:Information and Communication Technologyの略語。情報処理や通信に関する技術、設備の総称。
※2 BYOD:Bring Your Own Deviceの略語。元々は企業などの団体組織において個人所有のモバイル端末を職場に持ち込み、それを業務目的の情報端末として運用するといった取り組み。

【調査結果サマリ】
●タブレット型PCを1台以上導入している高等学校は48.0%、無線ネットワーク環境の整備も加速
タブレット型PCを校内に1台以上導入している高等学校の割合は、昨年度調査から11.8ポイント増の48.0%となりました。無線ネットワークを通常教室で使用できる高等学校も全体の32.2%に増加し、モバイル端末利用のための環境整備が進んでいます。
BYODの利用校が23.5%に拡大、私物端末スマートフォン等の高等学校内での使用制限が大幅に緩和
スマートフォン等の生徒の私物端末を教育利用する「BYOD」を施行する高等学校は、全体の2割超にまで広がっています。校内で私物端末の使用を許可している高等学校も全体の35.7%に増えましたが、同時に「生徒の情報モラル」「情報セキュリティ対策」についての懸念が高まっています。
教育改革」「働き方改革の流れを受け、高等学校でのICT活用が授業の変化と校務の変容を促進
高等学校ではICT機器・サービスを、「探究学習」をはじめとしたアクティブ・ラーニング(※3)や、動画を取り入れた授業へ活用することに、大きな期待を寄せています。授業以外のシーンでも、教材や校務資料をペーパーレス化することなどで、多忙な教員の従事時間を有効活用できるといった声が聞かれています。
※3 アクティブ・ラーニング:教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。(文部科学省「用語集」より) アクティブ・ラーニングによる授業改善で、新学習指導要領で示される「主体的・対話的で深い学び」が実現できるとされている。

■高等学校でのICT機器と無線ネットワークの利用状況
全国の高等学校におけるICT機器の導入・使用状況を調べたところ、「大型提示装置(電子黒板・プロジェクター等)」(81.0%)が、過去の調査に引き続き回答数トップとなりました。一方、生徒自身が使用する端末の導入率は、「生徒用のPC端末(タブレット型)」(48.0%)が昨年調査から大きく増加しています。〈図1〉
また、タブレット型PCをはじめとしたモバイル端末の利用に必要な、無線ネットワークの整備状況については、回答校の61.4%が、エリアの大小に限らず「無線でのネットワークを使用できる」と答えています。中でも、「校内のどこでも無線のネットワークを使用できる」(16.4%)、「校内の通常教室で無線でのネットワークを使用できる」(15.8%)の割合は、昨年から大きく伸びました。授業の中でタブレット型PCなどのモバイル端末を利用できる環境の構築が、着実に進んできていることがうかがえます。〈図2〉


■学校現場で広がるBYODによるスマートフォンの教育的利用
高等学校におけるICT機器の導入・使用状況に関する調査で、昨年利用率が顕著に増えた「生徒の私物端末(スマートフォン・PC等)」については、今回の調査で、4.2ポイント増の23.5%となり、さらに拡大の傾向が見られました。〈図1〉
また、高等学校における生徒私有のモバイル機器端末(スマートフォン等)の使用制限状況について調べたところ、「学習などの目的であれば校内で自由に使用できる」の回答割合は全体の19.7%となり、一昨年調査から倍近くにまで伸びています。「校内で自由に使用できる」(16.0%)と合わせると、私物端末の教育的利用が可能な高等学校の割合は、回答校全体の35.7%に上ります。校内でのスマートフォン使用制限が緩和され、学校配備端末の代わりに生徒が使い慣れた私物端末を利用する「BYOD」によって、端末導入のコストをかけなくてもICT活用のメリットを創出できる可能性が広がっています。〈図3〉

■高等学校でのタブレット型PCの配備状況
タブレット型PC導入の急増を背景に、導入校に対して端末の配備状況の内訳を調べたところ、「生徒1人1台配備」と答えた高等学校の割合は合計で21.3%となりました。昨年度調査から2.0ポイント増となり、過去最多の規模に拡大しています。〈図4〉 回答校を国公立校・私立校に分類して見てみると、「生徒1人1台配備」の割合は、国公立校(5.4%)・私立校(43.8%)と、私立校の方が圧倒的に多く、配備傾向に大きな差があることもわかりました。
さらに、今後タブレット型PCの導入予定があるとする高等学校においては、合計48.3%が「生徒1人1台配備」を見込んでいると答えており、この傾向が私立校を中心に今後も拡大していく見通しです。〈図5〉


■高等学校でのタブレット型PCの活用状況
タブレット型PCを既に導入している高等学校に対して、端末の活用状況について調査したところ、「十分活用できている」あるいは「まあまあ活用できている」と答えたのは合計62.4%で、昨年調査時から5.3ポイント減となりました。新規の端末導入率が上がり、導入校の回答母数が増えたことで、活用に対する意識傾向の揺り戻しが見られた形です。〈図6〉
端末の活用にあたってどのようなことに課題を感じているかという調査でも、「教員の活用スキルの引き上げ」(77.4%)や「活用に適した場面に見きわめ」(37.6%)の割合が昨年調査から増加するなど、教員側の課題意識の高まりが読み取れます。また、端末の「生徒1人1台利用」や「BYOD」の導入が進んだことで、「生徒の情報モラルの向上」(49.2%)や「情報セキュリティ対策」(35.5%)を課題に挙げる声も大きくなっています。〈図7〉


■高等学校におけるICT活用の必要性
高等学校においてICT活用の必要性を感じるポイントについて聞いた調査では、「映像授業・動画視聴」(70.4%)が最多となりました。その他「アクティブ・ラーニング」(53.3%)にも回答が集まり、2019年度の高校1年次より科目に取り入れられた「探究学習」に象徴される、授業内容の変化・深化のために、ICTの活用が求められていることがわかります。〈図8〉
また、「校務負担の軽減」(53.4%)や「教材のペーパーレス化」(44.6%)にも、一定数の回答が集まりました。校務や授業の運営面にも、ICT活用が大きい影響をもたらしていることが見て取れます。ICTを活用して既存の校務を効率化し、教員の従事時間を授業改善などに有効活用するといった、「働き方改革」にも通じる試みが学校現場でも進められていると思われます。

■総括:教育ICTに寄せられる期待
本調査では、全国の高等学校において、タブレット型PCをはじめとした生徒用端末や無線ネットワークといった、ハードウェア・設備面でのICT環境整備が、急激に進んでいることがわかりました。設備投資に十分なコストをかけられない学校においても、生徒の私物端末を学習に利用するといった工夫が見られます。
また、ICT機器を活用するためのソフトウェアやサービスは、映像・動画の視聴や「探究学習」などのアクティブ・ラーニングといった、授業変革のシーンにおいて大いに必要とされていることがわかりました。同時に、教員側のスキルアップや校務負担の軽減といった、指導者側の姿勢やあり方にも、大きな影響をもたらしています。

今後、旺文社では、今回の調査結果をもとに学校現場の実情や課題を踏まえ、活用意義の高いICTサービスの提供や、高等学校に向けた教育ICT活用セミナーの開催など、教育の場をサポートする取り組みを進めてまいります。

<高等学校アンケート調査実施要領>
※2017年度・2018年度・2019年度の調査結果は、旺文社HPよりご覧いただけます。
(2017年度版)https://www.obunsha.co.jp/news/detail/459
(2018年度版)https://www.obunsha.co.jp/news/detail/509
(2019年度版)https://www.obunsha.co.jp/news/detail/548

調査テーマ:
全国の高等学校におけるICT活用状況についての調査
調査目的:
高等学校現場におけるICT機器の導入ならびにICT関連サービスの活用状況の実態を調べ、
導入拡大・継続運用のための課題や、今後必要とされるサービス内容を把握する
調査対象:
旺文社独自リストに基づく全国の国公私立高等学校 計5,124校
*中等教育学校を含む/高等専門学校・高等専修学校を除く
調査方法:
対象校に対してアンケートDMを送付し、FAXおよびWebページにて回答を受け付け
調査規模:
全1,494校からのアンケート回答結果を分析
調査時期:
2019年12月上旬~2020年1月上旬
調査発表日:
2020年2月21日

■旺文社提供/学校向け教育ICTサービス
<旺文社英単語マスタープログラム「タンゴスタ!for英単語ターゲット」>
「タンゴスタ!for英単語ターゲット」は、英単語学習を支援するために開発された、高等学校向けのICT活用サービスです。多くの高等学校に教材として採用いただいている英単語集「英単語ターゲット」シリーズのコンテンツが搭載されており、学習の効率化と継続サポートによる生徒の英単語習得、ならびに、確認テストや評価管理の自動化による先生の負担軽減を実現します。
2017年4月のサービス提供開始以来、学校現場におけるICT環境の整備が進んでいることを受け、全国の高等学校での導入が広がっており、ご利用校の先生方からは、「生徒に学習習慣が定着して英単語力が目に見えるように向上した」、「英単語テスト実施にかかる手間が大幅に減って、成績管理や教材研究に時間を割けるようになった」と、好評をいただいております。


●公式サイトURL:https://www.obunsha.co.jp/pr/tangosta

【会社概要】
社名:株式会社 旺文社
代表者:代表取締役社長 生駒大壱
設立:1931年10月1日
本社:〒162‐8680 東京都新宿区横寺町55 / TEL: 03‐3266‐6400
事業内容:教育・情報をメインとした総合出版と事業
URL: https://www.obunsha.co.jp/

【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社旺文社 総務グループ 広報担当
TEL:03-3266-6400 FAX:03-3266-6849 E-mail:pr@obunsha.co.jp