90年間、変わることなく受験生を支え続けている『螢雪時代』。
難関大合格を目指す受験生を応援する。

巻田 裕孝 / 雑誌編集

月刊『螢雪時代』は受験生のペースメーカー。
入試本番に向けて、迷える受験生に刺さる特集を企画する。

大学受験情報誌・月刊『螢雪時代』は、前身である『受験旬報』(1932年創刊)から数えて創刊90周年を迎えます。私はその編集長として、毎号の特集の企画や進行管理、制作ディレクションなどを担っています。雑誌の制作には多くの編集者や外部スタッフが関わるので、それぞれの個性を活かしながら、全体としての方向性をいかに統一するかが、編集長という役割の難しさであり、やりがいであると感じています。

私たちは「大学受験」というテーマの中で、毎年、毎号、多様な企画を立案し、記事を制作しています。「合格のためにやるべきこと」はある程度決まってはいるものの、受験生にとってはどれが正解かわからない。さまざまな手法の中から、『螢雪時代』として正しいと考えるもの、本質的だと思えるものを選定して伝えることが大事だと思っています。
受験生からの質問で多いのが、「この時期に何をすればいいのか」というものです。「受験生のペースメーカーになる」というのが、月刊誌である『螢雪時代』のモットーの一つ。入試本番から逆算して「この月にやるべきこと」を各号の特集の軸に据え、表紙のコピーも受験生に刺さるものになるよう工夫しています。

受験体験談は重要な情報源。
『螢雪時代』のブランド力にあぐらをかかず、
取材対象者から学ぶ姿勢を忘れない。

企画を考え、記事を制作していく過程で大切にしているのが、先輩受験生へのインタビュー取材から得た知見です。受験を終えた学生たちの受験体験談は、『螢雪時代』を編集する上で重要な情報源。「合格体験記」の記事はもちろん、「今の受験生は、どの時期に何を求めているのか」「今の受験生(高校生)にはどういう傾向があり、どんなことに関心があるのか」をつかむためにも、学生たちの「本音」がとても重要なんです。

学生さんに本音で語ってもらうには、こちらの聞く姿勢も大事です。「あなたの話が聞きたい」「あなたの話を必要としている」と態度で示すよう心がけ、対等な立場で誠意をもって接するようにしています。また、こちらが適度な自己開示をすることも大切です。雑談を交わすなかで、「この人になら話せる」という空気づくりに努めています。

取材依頼時に「『螢雪時代』の取材です」と言えば、大学の学長・総長といった方々にも協力していただけるケースが多く、そんなときには『螢雪時代』のブランドの偉大さを実感します。このブランドや伝統を大切にしつつ、しかしそこに驕(おご)らず、取材対象者から学ぶ姿勢を常に忘れないでいたいと思っています。

受験生のために汗をかく。
時代に合わせ、ニーズに合わせ、
進化し続ける『螢雪時代』へ。

90年間変わることなく、『螢雪時代』の読者は「大学受験生」。それはこれからも変わりません。編集部の「受験生のために汗をかく」というスタンスも、変わることはありません。しかし、情報の切り口や伝え方、見せ方は積極的に変えていく必要もあるはずです。
どうすれば受験生に響くか、役立ててもらえるかということを常に考えながら、バリエーション豊かな記事を生み出せる媒体でありたいと思っています。

また、近年では教育現場でもICT化が進み、オンラインサービスなどを使って情報を発信したり共有したりしている学校も増えてきました。そうした環境で『螢雪時代』のコンテンツを活用していただくためには、デジタルデータに変換した情報提供のあり方なども考えていく必要があるでしょう。紙以外の部分でどのような可能性があるのか模索していきたいです。

この仕事の醍醐味は、自分の人生のために必死に頑張る受験生を応援できること、そして、これから先の社会で活躍する人材の努力の過程に少しでもかかわれること。これからも、『螢雪時代』は進化し続けていきます。

私が愛用していた参考書

一つ挙げるとすると、『英語長文問題精講』です。今あらためて見ますと、受験生当時、英語、そして現代文もそうですが、文章を読むことが受験勉強になるこれらの科目だけは楽しく前向きに取り組んでいたことを思い出しました。『英語長文問題精講』は良質な英文が載っていて、その内容自体から学ぶことが多くて何度も何度も読んでいました。

いま、学んでいる皆さんへ

かつての限られた人だけが大学に進学していた時代は、社会も発展途上で、大学卒業後にやるべきことが山積みでした。学びが将来を変えていくことに直接的につながる時代であり、自分で考えなくても「課題」や「壁」が明確でした。一方、今は課題や壁が見えにくく、解決すべき課題や挑戦する壁を自分で見つけなければならない時代です。学んだ先にあるものが見えにくいがゆえに、大学受験という壁を乗り越えたものの何をしていいかわからない…と燃え尽きてしまう人もいます。自ら壁を見つけ、それを乗り越えるための力をつけるために学んでいるのだということを忘れず、能動的な姿勢で学びに臨んでほしいと思います。

図解全訳古語辞典

月刊『螢雪時代』

国公立大&難関私立大学合格!のために読む雑誌。難関大学の受験でアドバンテージとなる情報が満載です。
志望する難関大学に合格するために、受験勉強のペースメーカーとして、あなたをサポートします。

『螢雪時代』最新号はこちら