旺文社の歩み
History

教育出版社として歩んだ90年。
振り返って見えてくる、
「学ぶ人」への熱い思いと変革の歴史。

「青年の期待を裏切ってはならない」
「貧しさにも、苦しみにも、迫害にも、不幸にもめげず、
美しい心根をもって、すくすくと伸びて行く青年の姿は美しい限りである」
「私は、青年の自主的な創意に大いに期待をかけたいのである」

旺文社の創業者・赤尾好夫は、ことあるごとに「学ぶ人」、
特に若者に対する熱い思いを口にしてきました。
そしてそれを実践するために、
教育業界・出版業界に次々と新たな一石を投じてきました。
歴史を通じて培われた哲学や信念、
そして変革への飽くなき探究心を胸に、
旺文社はこれからも、良質なコンテンツを通じて「学ぶ人」を支え続けます。

1931年 創業の地
1938年ごろの社内の様子
1931

創業

創業者・赤尾好夫が唱えた社是

地方と都市の進学格差をなくしたい

当時、地方と都市の進学率の格差は非常に激しいものでした。この格差をなくし、「地方の生徒にも上級の学校に入れる機会を与えたい」との思いで始めた「通信添削教育」から、旺文社(当時は「歐文社」)はスタートしました。

1932

『受験旬報』刊行(のちの『螢雪時代』)

(左)『螢雪時代』の前身『受験旬報』
(右)名称変更当時の『螢雪時代』

すべての受験生に正確な受験情報を流す

地方と都市とでは教育だけでなく情報にも大きな格差がありました。「地方の受験生に正確な受験情報を流す」をコンセプトに刊行された『受験旬報』は、戦時を経て『螢雪時代』に名を変えたのちも、現在に至るまで、受験制度の移り変わりをいち早く反映した詳しい情報を、読者に提供し続けています。

1933

『英文標準問題精講』刊行

『英文標準問題精講』改訂新版

問題文を軸にした英文解説の先駆け

文法・構文・熟語など、カテゴリーごとに構成された参考書が中心の時代に、「問題文を軸に英文を総合的に解説する」を実践した参考書。一題を解けば、さまざまな重要事項を同時に習得することができるメリットと、良質な英文から出典を厳選するという本質へのこだわりが支持を受け、科目を超えてシリーズ化されたロングセラー商品です。

1935

『英語基本単語(熟語)集』刊行

いつでもどこでも開けるポケットサイズの単語帳

「ポケットに入れて、いつでもどこでも確認できる単語・熟語集」で大ロングセラーとなった通称『豆単』。第6版の改訂時(1971年)には、入試に出題された約30万語をコンピューター分析し、各単語に入試頻出度ランキングをつけました。

1949

『傾向と対策』『大学入試問題正解』
シリーズ刊行

(左)『第一回 傾向と対策 世界史』 
(右)『昭和十年 入学試験問題詳解』

入試問題を科学的に解剖

戦後、新しい学制のもとで始まった大学入試を分析し、各教科・科目の「傾向と対策」を解説した、情報誌でもあり受験参考書でもある『傾向と対策』。個人では到底入手できない入試問題を集めて解答・解説を施した『大学入試問題正解』。この2つは、まさに「旺文社にしかできないことで、受験生のニーズに応えるもの」の代表格と言えます。

1952

「大学受験ラジオ講座」開講

「ラジオ大学受験講座テキスト 古文」創刊号

教育格差をなくすためラジオ界に進出

「大学受験に関する、地方と都市との格差をなくしたい」という信念をさらに具現化するために、放送の分野にまで進出した、通称「ラ講」。それまで教科書と参考書が教材であった受験業界にとって画期的な試みであり、一流講師陣による講座は、放送地域の拡大とともに全国の受験生に人気を博していきました。

1954

「旺文社模試」スタート

模擬試験風景とコンピューター分析の様子

偏差値を導入した模試のはじまり

コンピューターにまだ馴染みのない時代において、高速データ処理を用いた偏差値の導入、大学・学部別の合格難易度の提示など、数々の新しい手法を取り入れた模擬試験。模試の先駆けとして、受験生・学校関係者から多大な信頼が寄せられました。

1957

「全国学芸コンクール」創設

青少年の向上心育成の場づくり

「全国学芸サイエンスコンクール」
公式キャラクター「ラピス」

「青少年の向上心を満たす場を作りたい」との思いから始まった「全国学芸コンクール」。科学部門の追加や「名作読後感想文コンクール」との統合等を経て、内閣府・文部科学省・環境省後援のコンクールとして、現在も毎年実施しています。

「全国学芸サイエンスコンクール」公式サイトへ
1960

『旺文社国語辞典』『旺文社古語辞典』刊行

(左)『旺文社国語辞典』初版 
(右)『旺文社古語辞典』初版

学習辞典というジャンルの確立

一般向けの辞典しか存在しなかったなかで、学習者のための創意工夫を施した初めての学習辞典。国語以外の教科からも語を採録し、「漢和辞典」「歳時記」としても使える配慮を施した『旺文社国語辞典』。固有名詞や和歌・俳句なども採録した『旺文社古語辞典』。「学習のための辞典」として徹底的に学習者に寄り添う姿勢が貫かれた2つの辞典は、版を重ね、現在も多くの読者に愛用されています。

1965

『旺文社文庫』刊行

旺文社文庫第1巻『吾輩は猫である』

生きる糧となる名作を若者に

「若者のための文庫を」という思いで誕生した旺文社文庫。『吾輩は猫である』からスタートし、若い日に一読する価値のある名作が、文学・科学・伝記・思想などさまざまなジャンルに渡って刊行されました。教育出版社ゆえのきめ細かく充実した作家解説・作品解説に加え、ケース入りの文庫本という製本でも評判を集めました。

1967

『中学ばらシリーズ』刊行

美しく読みやすい日本初のカラー参考書

今では当たり前ですが、日本で初めてのカラー印刷の参考書がこの『中学ばらシリーズ』です。英語・数学などの主要教科に加え、美術や音楽も網羅した全20巻。「こんなきれいな、絵本のような参考書ができるとは」と当時の出版界に衝撃を与えました。

1984

『英単語ターゲット1900』刊行

『英単語ターゲット1900』初版

コンピューター分析による「でる順配列」&一語一義主義の単語帳

当時、最先端のコンピューターを研究に活用されていたお茶の水女子大学の宮川幸久先生のもと、過去の大学入試問題データから単熟語の使用頻度を分野ごとに徹底分析した、新しい「でる順」の英単語集。「でる順配列」「一語一義主義」といった特長はそのままに、学習者のニーズを捉えて改訂を重ね、現在に至るまで多くの高校生の英単語学習を支え続けています。

1988

『ロイヤル英文法』刊行

『ロイヤル英文法』改訂新版

高度な文法も実用性も一冊で

充実した内容と、高い実用性が両立した英文法書。詳細な解説・高難度の文法項目を掲載する一方、ネイティブへのヒアリングをおこなって話し言葉も豊富に採録。英語の実態をつかめる英文法書として、高校生から英語学習の上級者まで、広く愛されています。

2001

「大学受験パスナビ」スタート

全国の大学情報を掲載するWebメディア

雑誌『螢雪時代』と連動し、大学受験のポータルサイトとして開設。インターネットの普及とともに多くの受験生に利用されてきました。全国の大学情報を掲載し、エリアや学部など受験生の興味に応じた大学を検索することができます。現在も「受験生のため」を第一に、共通テスト解答速報、コロナ禍における「入試の変更速報」など、時勢に応じた情報を収集・公開し続けています。

「大学受験パスナビ」へ
2006

『中学総合的研究』刊行

『中学総合的研究 数学』初版

中学生の心にまで寄り添う本格参考書

中学教科書の内容はもちろん、高校初級レベルの内容まで網羅した本格参考書。学習参考書としては異例ながら、企画から刊行まで2年以上を費やしました。「単にテストの点を上げるテクニック本ではなく、中学生が机に向かう孤独な時間を、常に共有できなくてはならない」という信念のもと編集されたものです。

2011

アミークス開校

既成概念にとらわれない新しいカタチの学校をつくりたい

沖縄県・うるま市・旺文社の三者協力のもと、「学校法人アミークス国際学園」を創立。幼・小・中の一貫校であり、外国人も日本人も同じ校舎で学ぶ英語イマージョン校です。従来の既成概念にとらわれない新しいカタチの学校をつくりたいという旺文社の強い思いを体現しています。

「学校法人アミークス国際学園」へ
2014

「ターゲットの友」サービス開始

スマホで英単語学習を応援

『英単語ターゲット1900』の刊行30周年を記念して企画・開発された、無料で使えるスマホアプリ。英単語学習を楽しく習慣化できるような工夫が詰まっています。

「ターゲットの友」公式サイトへ
2015

『学校では教えてくれない大切なこと』刊行

シリーズ第1巻『整理整頓』

まったく新しい「こども実用書」ジャンルの開拓

国語・算数などの教科の枠を超え、将来役に立つ力をマンガで学べるというコンセプトでつくられた、いわば子ども向けの実用書。この画期的な新シリーズは刊行当初から爆発的な人気を獲得し、2021年現在、36巻以上のラインナップとなっています。

2017

「英語の友」サービス開始

手軽に英語音声を聴ける無料アプリ

旺文社が刊行する英語資格試験対策書(英検®、TOEIC®など)に対応した音声を、スマホで手軽に聞ける無料アプリがサービス開始。2021年現在、約200冊の書籍に対応しています。

「英語の友」メディアサイトへ
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
2019

「StudiCo」スタート

受験生向け参考書&勉強法の口コミサイト

2019年4月にグランドオープンした、大学受験の参考書・勉強法の専門サイト。充実した書籍情報と、実際にその参考書を使った先輩たちからのレポートをもとに、自分の現状と目標に合った参考書選びや、参考書の有効活用をサポートします。

「StudiCo」へ
2021

学ぶ人を支えて、90年

2021年、旺文社は創業90周年を迎えました

「単に一出版社としてではなく、真剣に真面目に努力するものが、繁栄していく証拠のサンプルを世に示したいと思う」創業者の思いは、今も旺文社に生きています。「学びたい」と真剣に努力する人を、真剣に応援したい——。これまでも、これからも、旺文社が持ち続ける精神です。

未来を切り拓く、読者とともに。
旺文社の挑戦はこれからも続きます。