さまざまな分野でがんばる
子どもたちをクローズアップし、
人生を一歩踏み出す手助けに。
「全国学芸サイエンスコンクール」(以下、学コン)をひと言で表すと、「子どもたちの多様なチャレンジを応援するコンクール」。自分の作品が評価されることで子どもたちがより意欲的になり、一歩、二歩と踏み出す…その手助けができたら…。そういう想いで創設者の赤尾好夫はこのコンクールを始めたのだと思います。
コンクールのタイトルに「学芸」「サイエンス」とあるように、学コンは、理科や社会科の自由研究、アートや文芸など、勉強以外のさまざまな分野で活動する子どもたちをクローズアップし、その創作や活動を称え、賞を贈ります。受賞したことが、子どもたちのその後の人生の弾みに、一助になることを願う創設者の想いを胸に、業務にあたっています。
66年間続く受賞者とのつながりに感動。
子どもの背中を押す「学コン」は、
応募者の人生に影響を与え得る存在。
学コンでは、長く歴代の特別賞受賞者の近況報告を頂く活動もしていますが、先日、第1回の最優秀賞に選ばれた84歳の方から、お便りが届きました。創作活動はお休みされているとのことでしたが、「コンクールのますますの発展をお祈りしています」と丁寧なお言葉で綴られていました。第1回ですから66年前です。それから現在まで、旺文社と受賞者との間にずっとつながりがあることに感動しました。また、受賞者の保護者の方から、「学コンで受賞したことが進路を決める一手になった」とメールをいただいたこともあります。学コンが応募者の人生に影響を与えているのだと実感し、その意義を再確認しました。
学コンを通して子どもの背中を押してあげること、そしてそれを長く続けていくことは、人類や地球の未来に貢献する人財を育てる一助になる。そしてこれこそが、旺文社の社是「夢高くして足地にあり 良書を供して英才を育て 文化を興して以て栄える」の意味するところであり、私自身もこの社是を体現していきたいと思っています。
前例踏襲の根拠を検証し、
変えてはいけないものと
変えるべきものを見極める。
赤尾好夫の想いは、これからも変わらず受け継いでいくべきものです。旺文社が学コンを主催する限りコンセプトは変えてはいけないし、私たちには守る責任があります。一方、変えるべきこともあります。66年間続いてきたなかで、仕事の進め方など、旧態依然とした部分があるのは否めません。「変えよう」という意見が出たときに、「今までやってきたことだから」というのは、本来は変えない理由になりません。しかし、学コンの場合は歴史が長いがゆえに、「なぜ」という根拠が曖昧になっていることが少なくありません。実は大事な理由があって変えてはいけないのかもしれない…と思うと、「こうやって変えたらいいのでは?」というアイディアが出ても、今ある理由を深堀りしないとなかなか変える判断に行きつかないこともあります。
大事なのは、そうやって「様子見」で変えるべき点を変えずに何年も来ているケースがあるかもしれない、という視点をもつこと。意味のない前例踏襲なのか、根拠のある前例踏襲なのかを検証しつつ、変えていこうとする挑戦が必要だと感じています。根本となるルールやジャッジの仕方、つまり価値観は変えてはいけないけれど、日々の業務はどんどん見直して変えていくべき。私はそう考えています。新しいものにチャレンジすることと、変化を受け入れることは同義ではありません。まずはやってみる。やってみてから自分たちに必要かどうかを判断する。そういう進め方が、これからの時代は求められるのではないかと思います。
いま、学んでいる皆さんへ
「なぜ?」と疑問をもつことを大事にしてほしいと思います。学コンの自由研究などの作品を見ても、みんな「なんでこうなってるの?」から入っています。授業を受けるなかでも、常に「なんで?」と疑問をもってほしい。小さな発見ひとつでもそれは「学び」となり、ひとつ学べばひとつ自分が変わっていきます。学ぶために変わるのか、変わるために学ぶのかは自分次第。さあ、あなたはどちらですか?