ただ書籍の特長を並べるのではなく、
学習者や先生に、どう役立つのか。
「価値」を見つけ、伝えるのが私の使命。

野田 迅 / 営業 

「学校」という、学習参考書との出会いの場。
限られた時間の中で、
いかに端的に教材の魅力を伝えられるか。

学習参考書との出会いの場というと、多くの方は書店を連想するのではないでしょうか。しかし、実はもう一つ重要な場所があります。それは「学校」です。教科書とともに配布される単語帳や資料集、そして辞典などは、受験ばかりでなく日頃の授業への理解を高める教材として、多くの中高生に愛用されています。旺文社では、そうした学校に向けた営業にも力を入れており、全国に営業担当者が数十名います。私はそのチームの一員として、都内100校ほどを担当する傍ら、各担当者の営業活動がスムーズに進むように、チーム全体の年間営業計画の策定や、販促物の制作などをおこなっています。

教育機関は年度ごとにスケジュールが組まれているため、翌年度に採用する教材を前年末ごろまでには絞り込みます。私たち学校営業の担当にとって、大変重要な時期です。参考書や辞書といった採用検討用の実物見本、チラシやパンフレットを大量に積んだ車を運転しながら、各学校に足を運んで提案します。学校の先生方はとてもお忙しいため、お話を聞いていただけるのは休み時間や放課後のわずかな時間。いかに端的に教材の魅力を伝えるかが採用の鍵を握ります。

商品の特長をダイジェスト化して、
先生に、「もっと聞かせて」と言っていただく。
映画の予告編のような伝え方が理想。

若い頃には、教える立場である学校の先生方に教材の中身を「教える」のは失礼なこと、と思っていました。社内の編集担当者から聞いた特長を伝える程度にとどめ、むしろ先生のお話を聞くことの方が大事であると。しかし、なかなか結果も手応えも伴いませんでした。そこで営業スタイルを変えることに決めました。編集担当者から特長をより詳しく聞いて、それらを自分で吟味したうえで、教材のセールスポイントを考え、先生のお話を聞きながらも、自分から積極的にお伝えをするようにしたところ、先生方の反応が激変。採用いただく教材がどんどん増えました。

2021年10月に刊行された『図解全訳古語辞典』には、企画が立ち上がった当初から営業担当として携わり、新高校1年生の入学時に採用していただけるよう準備を進めてきました。私なりに心がけているのは「オールカラー」「イラストや図が多用されている」といったデザイン上の新しさを、どのように学習者や先生方にとっての価値に翻訳してお伝えするかということ。「古典への苦手意識を払拭する」「資料集など別の教材を使わなくてもよくなる」など、ユーザー側の視点に立つことがとても大事です。そして、映画の予告編で続きを観たくなるのと同じように「もっとその話を聞きたい」と思っていただく。1,000ページを越す辞書のすべてに目を通していただくことは困難なので、いかに魅力をダイジェスト化できるかもポイントです。

職員室に足を運び、先生の生の声を吸い上げ、
教材の新たな魅力を発掘していく。

短時間でも先生方に直接お会いして、教材の魅力を積極的にお伝えしていく方法が自分には合っていると感じます。採用していただいている教材の使い方や課題など、社内のミーティングでは出てこないような生の声が現場には必ずある。そこから新たに、セールスポイントが見つかることも少なくありません。

上司や先輩など周囲の成功体験をそのまま実践しても、それがうまくいくとは限りません。仕事のスタイルというのはある意味で、常識やルールを振り切って、自分でつかんでいくものだと思います。それはきっと「学ぶ」という行為そのものですし、「変えてゆく」ことでもあるでしょう。さらに、自らの成功体験をも捨てていけるかどうか。自分で積み上げてきた常識を壊すのは簡単ではありませんが、いくつになっても思考を柔軟に保ち、「鳥の目」も「虫の目」も「魚の目」も持ち続けていきたいと考えています。

私が愛用していた参考書

大学卒業までサッカーに没頭していて、あまり勉強には熱心ではなかったように思います。そんな日々だったため、大学の英語の授業がとても難しく感じて、改めて単語を覚え直そうと買ったのが『英単語ターゲット1900』(当時は改訂版)。その頃は旺文社の書籍ということは認識していませんでしたが。現在も本から学ぶことは多いですが、最近はテレワークスタイルでの勤務が増えて、読書量が減ってしまったので、もっと読書の時間をつくりたいですね。

いま、学んでいる皆さんへ

新しく「学ぶ」や「変えてゆく」に挑戦したいけど、踏ん切りがつかないことも多いですよね。でもあまり深刻に考えず、気軽に何かを始めてみて、それが合わないと感じたら「変えてゆく」。あるいは、他のことの方が自分には向いていそうだと「学ぶ」。その繰り返しでいいんじゃないかと私は思っています。実はその繰り返しで、いつか周りからは「変わったよね」と見られることだってあると思いますね。

図解全訳古語辞典

『旺文社図解全訳古語辞典』

大事なことが「見てわかる」、オールカラー古語辞典!
古文世界を実感できる図表・イラストが満載。
教科書・入試問題を分析して15,000語を収録、用例には丁寧な現代語訳を付けました。
古文の学びはじめから大学受験まで、安心して使える一冊です。

「旺文社図解全訳古語辞典」特設サイトへ