23.ワシントン会議はなぜ開かれたのか。
(本文第80問対応)
▶ 解答例・視点・ヒント
- アメリカは日本やイギリスとの建艦競争を終わらせ,自国の財政負担の軽減を図りながら日本の東アジアにおける勢力増強を抑え,新たな国際協調体制を築こうとしたから。
▶ 基本事項の整理
- ワシントン会議はアメリカ大統領ハーディングの提唱で,1921~22年にかけて開催され,日本からは全権として海相加藤友三郎・駐米大使幣原喜重郎・貴族院議長徳川家達(いえさと)が参加した。1921年にはアメリカ・イギリス・日本・フランスの間で,太平洋の平和に関する四カ国条約が調印され,1922年にはアメリカ・イギリス・日本・フランス・ベルギー・オランダ・イタリア・ポルトガル・中国との間で中国の主権尊重・門戸開放・機会均等などを定めた九カ国条約が結ばれたほか,アメリカ・イギリス・日本・フランス・イタリアとの間でワシントン海軍軍縮条約が締結され,主力艦の保有を米:英:日:仏:伊=5:5:3:1.67:1.67と制限し,主力艦の建造も10年間禁止とした。
▶ 補足・発展
- 四カ国条約によって日英同盟が,九カ国条約によって石井・ランシング協定が廃棄されたほか,中国と山東懸案解決条約を結び,日本が山東省にもっていた旧ドイツ権益を返還した。こうした諸条約の締結によってヴェルサイユ体制のアジア・太平洋版として,ワシントン体制と呼ばれる国際平和の枠組みが築かれ,欧米列強と日本との間にアメリカ主導による新たな国際秩序と勢力均衡が成立した。