20.江戸時代にはなぜ農業が飛躍的に発達したのか。
(本文第51問対応)
▶ 解答例・視点・ヒント
- 新田開発による耕地面積の拡大や農業技術の発達,農学の発達,商品作物の栽培などが生産力の増大に拍車をかけた。
▶ 基本事項の整理
- 幕藩の勧農政策の結果,村請新田や町人請負新田など,各地で新田開発が進んで耕地面積が拡大したほか,灌漑・治水技術の進展,農具や肥料の改良・普及,商品作物の栽培,農学の発達による農業知識の普及,農政家の活躍による農村復興などによって生産力が向上し,村々では狭い耕地に家族規模の労働力をつぎ込んで収益を上げる小農経営が展開した。
▶ 補足・発展
- 17世紀初期に約160万町歩だった田畑面積は18世紀初めに約300万町歩に拡大した。農具では深耕用の備中鍬,揚水具の踏車,選別具の千石簁(せんごくどおし)・唐箕,脱穀具の千歯扱などが普及し,肥料では下肥・草木灰・刈敷のほかに菜種や綿花などの商品作物の栽培が盛んな地域には干・油粕・〆粕などの金肥も用いられた。商品作物では出羽の紅花や阿波の藍など四木三草も重視された。また宮崎安貞が『農業全書』を刊行するなど,栽培技術や農業知識を説く書物も普及した。