4.奈良時代の天武系の天皇と平安時代初期の天智系の天皇の政治を比較した場合,それぞれどのような特徴があるか。
(本文第13問対応)
▶ 解答例・視点・ヒント
- 天武系の天皇は仏教重視の政策を展開し,天智系の天皇は儒教精神重視の政策を推進した。政策を進めるにあたって,精神的支柱を何に求めたかを考えて比較すればよい。
▶ 基本事項の整理
- 聖武天皇の仏教政策に見られるように,奈良時代の天武系の天皇は仏教の鎮護国家思想を重視したのに対して,桓武天皇に代表される平安時代初期の天智系の天皇は雑徭を60日から30日に半減するなど,民衆の負担軽減に重点をおいた儒教精神重視の政策を展開した。
▶ 補足・発展
- 聖武天皇は741年に国分寺建立の詔を発布して諸国に国分寺と国分尼寺を設けたほか,743年には大仏造立の詔を発布するなどして仏教の鎮護国家の力に頼った政策を展開した。桓武天皇は792年に健児(こんでい)の制を設けて農民負担の軽減と兵士の質の向上を図る一方,公出挙(くすいこ)の利息を5割から3割に低減したほか,班田を12年1班に延ばすなど律令制の再建に向けた政策を展開した。