2.憲法十七条と改新の詔は歴史上,それぞれどのような意義をもっているか。
(本文第5問対応)
▶ 解答例・視点・ヒント
- 憲法十七条は官吏のあるべき姿を説いた最初の規律。改新の詔は今後の施政方針を明示しながら,のちの中央集権的律令国家確立の基礎的な枠組みにつながる内容となっている。
▶ 基本事項の整理
- 憲法十七条は道徳的訓戒などを含めた官吏の服務規律を定めたもので,仏教思想のほかに儒教思想,法家の信賞必罰思想などが底流している。改新の詔は646年に孝徳天皇が発布した4カ条からなる政治方針で,①公地公民制の確立。②統一的地方行政制度の確立。③戸籍・計帳の作成と班田収授法の実施。④統一的租税制度の確立。からなっている。
▶ 補足・発展
- 17条の数字には陰陽思想としても意味があり,厩戸王(聖徳太子)は陰陽思想にも精通していたと考えられる。これまでは厩戸王が作成したとされてきたが,偽作説もある。改新の詔は『日本書紀』に収められているが,第2条の表記をめぐる郡評論争の結果,もともとの詔には「郡」ではなく「評」の文字が使われていたことが明らかになるなど,のちの大宝令などによる修飾が加えられた跡が認められる。