旺文社 全訳古語辞典 第五版

第五版までのあゆみ

編者Q&A

辞典の特長

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第五版までのあゆみ
初版

1990年:初版

外国語の辞書のように「古典の用例にも現代語訳がほしい」という読者の声を受けて、「旺文社全訳古語辞典」が誕生!教科書・大学入試問題の調査・分析により、初学者に必要十分な1万5000語を収録し、用例はおもに教科書から採録。ひとつひとつ原典にあたりました。文法に忠実な逐語訳は他の追随を許さぬ正確さで、高い評価を受けました。

第二版

1997年:第二版

「授業・入試に密着」した「全訳古語辞典」はまたたく間に普及。当初は初学者向けという位置付けでしたが、難関大学受験にも対応させてほしいという要望から、初版収録語数のおよそ5割に相当する7000語を増補し、全面改訂を行いました。2年後には携帯に便利な小型版も刊行しました。

第三版

2003年:第三版

第三版では500語増補し、2万2500語収録。全項目にわたり語釈・用例・訳文の綿密な見直しを行い、紙面のデザインも一新しました。古典の世界を視覚的に理解できるよう32ページの巻頭カラーページを新設。便覧の機能も併せ持つ画期的な古語辞典が誕生しました。

第四版

2011年:第四版

第四版では、主要な和歌・俳句を枠囲みにし、修辞および季語・切れ字を表示しました。また、主要な語の「語義パネル」に「重点義」を置き、その語の中核となる意味を示しました。入試の読解問題に役立つ慣用表現をまとめて示す「慣用表現」欄を設けるなど、教科書・入試の分析を踏まえた新たな特長が加わり、ますます充実した内容となりました。

第五版

2018年:第五版

8年ぶりの改訂による第五版刊行。今回も教科書・大学入試問題の徹底的な調査を行い、最新の研究成果も反映させました。有名用例の背景を解説した「名文解説」欄、語の由来を解説した「語の広がり」欄、重要敬語をまとめた「敬語ガイド」など、語彙を増やし、読解力がつく新規の特長を盛り込みました。教科書・入試をしっかり分析し、社会の変動に迅速に対応する姿勢は、初版編集時から一貫して変わりません。

装丁

装丁は、初版以来、広告制作会社として知られるライトパブリシテイに依頼、初版は大方昇さん、第二版以降は服部一成さんがデザインを担当されています。辞典は長く使うもの、装丁も単に書店で目立てばよいということではなく、背筋をぴんと伸ばして学問に取り組もうという意欲を起こさせるような、端正で上品なデザインを心がけています。


「旺文社全訳古語辞典」のデザイン

辞書をめくる行為には、ただ調べるだけではない様々な意味があると思う。言葉の向こう側にある世界は深くて広大なこと。一冊の辞書を作るために多くの人の膨大な時間が費やされていること。文字で埋め尽くされた分厚いページは、そのことを無言のうちに伝える。手の中に世界の大きさを実感できるのが辞書ではないだろうか。装丁デザインは辞書作りの最後のわずかな部分に過ぎないが、読者の体験の一角を担うつもりで臨んでいる。「全訳古語辞典」を担当したのは、花鳥画を全面に使った第二版が最初だ。第三版以降は、「全訳」の二文字をシンボルマークのように大きく扱ったデザインを続けてきた。各社が全訳を出すなかで、これが決定版、という意志をあらわそうと考えた。今回の第五版では、白黒の文字の色を「全」「訳」で反転する遊びを取り入れている。ベースの淡い水色(小型版はパープル)と合わせ、若い、清々しい印象を心掛けた。

服部一成