突撃!おおた先生 特別インタビュー

本の著者・おおたとしまさ先生に、気になる疑問や子育てに役立つアドバイスを、根掘り葉掘り聞いちゃいました!本を読む前でも読んだ後でも。『今からすべきこと』の理解が一歩深まることまちがいなしです。
おおたとしまさ
1973年生まれ。育児・教育ジャーナリスト。 麻布中学・高校卒業。 東京外国語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。 リクルートから独立後、数々の育児誌・教育誌の企画・編集・執筆に携わる。 中高の教員免許、私立小学校での教員経験、心理カウンセラーの資格もある。 『名門校とは何か?』(朝日新聞出版)『追いつめる親』(毎日新聞出版)など著書多数。
はじめに先生のことをお聞かせください。なぜ、おおた先生は教育に携わるお仕事に就かれたのでしょうか?

 通っていた学校の先生が魅力的だったので、中学生の頃から学校の先生になりたいと思っていました。その後、大学で英語の教員免許を取得しましたが、一般企業に入社しました。社会人を経験してから先生になりたかったんです。そして、自分の子どもが生まれたのをきっかけに、ライフスタイルを見直して独立しました。子どもの成長とともに、パパの目線で教育を外から見ることに、大きな意味を感じて。その後も、育児と教育を一貫して見続けることをポリシーに、様々な教育現場を観察しています。

先生は、お子さんの育児・教育の実践者でありながら、教育の全体を見渡していらっしゃいます。今回の本のタイトルは『小学生の親が高校受験のために今からすべきこと』ですが、なぜ小学生のうちから高校受験を見据えるべきなのでしょうか?

大学入試改革により、学力観に幅をもたせようという動きがありますね。これはつまり、今まではテストの直前に詰め込めば、ある程度結果が出せていたというのが、成立しなくなっていくということです。そこで必要になるのが、「学習履歴の積み重ね」です。高校受験の勉強内容を小学生のうちから意識しよう、という話ではありません。 小学生のときには、小学生としてやるべきことがあります。学習習慣を身につけること、時間の管理をすることなど、人として学ぶべきことを積み重ねて、基礎を作っておきたいということです。例えば、ゲームに熱中すること自体は悪いことではないけれども、あくまでゲームは食事で言うなら「おやつ」であることを認識するべきです。「おやつ」はあくまで補助なので、しっかりご飯やおかずを食べないと体の基礎はできません。

小学生のうちからの習慣づけが大事ということですね。では、中学に入ってしまったらもう手遅れなのでしょうか?

教育は、目的地に最短距離で到達することが、必ずしも正解ではないと考えています。まわり道がその後の人生においてプラスに働くことはたくさんあります。“余計なものを見た”、“余計なことをした”体験が、後になって活きてくるのです。大切なのは、逆にできなかったことは何なのか、振り返って見つめる作業ではないでしょうか。 全部思い通りに、受験もうまくいって、就職もうまくいって…のように生きていくと、そのレールから外れたらどうしようという不安が大きくなります。完璧だからこその不安です。無駄なことや不完全なことを受け入れることも、きっと強さにつながるはず。失敗しても前に進める力があった方が、たくましく生きていけると思いませんか?

本の中では、学習を習慣化する手法のひとつとして「リーチング・メソッド」が紹介されています。メソッドのどういった点が優れていると感じましたか?

主体的に学習する、いわゆるアクティブ・ラーニングに取り組みやすくなるツールとして、「リーチング学習手帳」はとても良いと思いました。大人になってからも、お金と時間の管理は必要ですよね?お金はおこづかい帳で管理するけれども、時間の管理を取り入れ、“時間を使う”感覚を身に付けることができるのは大きいです。受験はひとつのプロジェクトといえるでしょう。時間をうまく運用して、合格という目標への最適解を探していくこと。これを頭の中だけでなく、手帳のように目に見える形にしていくことが、プロジェクト成功への助けになるのです。 また、教える側・導く側の人間にとっても、こうした“道具”があることにメリットがあります。指導者側の認識のズレや感覚差といったものが、“道具”を通して均一化されていきます。教える側の視点がそろうのです。子どもたちが戸惑わないためにも、指導者側が一枚岩であることはとても重要です。

指導者側にもメリットがあるというのは驚きですね!では、実際にメソッドを導入している塾〈京進〉を取材した感想をお聞かせください。

 態度教育を大切にし、「先生がお手本」を実践している文化が根づいていると感じました。教育の現場では、人として学ぶべきこと以前に、現実に対応しなければならないことに追われがちです。しかし、そこにぶれない軸があることで、基本をしっかり身に付けさせるという、一番大切なことが守られているように思いました。

最後に、未来を生きる子どもたちに向き合う保護者の方々に、アドバイスをお願いします。

 これからは、より一層、将来の先行きが見えなくなっていきます。将来をいくら予測しても、最善といわれていたことが、その場その場で変わっていくこともありえます。一度、予測せずに目の前のことに対応してみましょう。自分の選択が正しかったかどうかという「結論」は、その選択をした後の「努力」でいかようにも変えられます。また、将来の目標を持つことは大切ですが、その目標にばかりしばられてしまい、今が窮屈になってしまうのももったいないです。将来を予測し、正しい選択を探すことに必死になるのではなく、選択した後の世界を努力して生きる。そのために必要な強さを、今のうちからお子さんと一緒に磨いて欲しいと願っています。

先生、どうもありがとうございました!

小学生の親が高校受験のために今からすべきこと